黒糖です。
今年もロードバイクアドベントカレンダー企画に参加させていただくことになりました。
毎年怪我の話や自分が本気で向き合ってきたライドのお話をしてきましたが、今年は大学4年間の終わりの年ということもあり、大学生活本気で向き合ってきた怪我の治療と、限りある時間の中で自分なりに向き合ってきたレースでの優勝までのトレーニングを記そうと思います。
怪我は自転車に限らず、どんなスポーツでも付き物です。中には怪我を一切しない人もいますし、僕みたいに怪我をしやすい人もいます。
これは個体ガチャなので仕方ありません、誰も悪くない。しかし、負ってしまったら苦しいのが怪我。
今回の記事では、僕が怪我を治す過程でのメンタルとの向き合い方、そしてどん底から這い上がって優勝するにはどうしてきたからを記していこうと思います。
これを読んだ同じ境遇の方にとって何か参考になれば嬉しいです。
また、僕は理学療法に詳しいわけではありません。ここで書く治療法、対処法はあくまで僕自身に当てはまったものであり、万人に通用するものではありません。
私の自転車歴と怪我について
まずはじめに私の自転車歴と、どのタイミングで怪我をしてしまったかを紹介いたします。
2015年
3月 自転車旅をはじめる
8月 ママチャリで名古屋⇔大阪約400kmを2日で走る
12月 クロスバイクで360km/1Dayを完走
2016年
6月 クロスバイクで1Day420km走破
8月 キャノボ初級 完走(ここで膝を故障する 病名:腸脛靭帯炎)
2017年
膝をかばいながら色々な乗り方を模索。腰を痛め、足底筋膜炎を発症。
また、両足鵞足炎も患う。
2018年
12月 治療とフィッティングの末、自転車に痛みなく自転車に乗ることができるようになる
2019年
2月 借り物のCXでバイクでCXレース出場。7位(ここから競技に興味を持ち始める)
4月 フレッシュ360km完走。怪我から完全復帰
5月 初のクリテリウムレース出場。ビギナークラス7位
6月 アキレス腱炎。原因はオーバーユース
2020年
7月 完治? 以後自転車復帰
12月 リトルワールド サイクルミーティング ビギナー優勝
このようになっております。
何かしらの怪我を負って満足のいくよう自転車に乗れなかった期間は2016年8月(高校3年生)~2018年12月(大学2年生)の2年4ヶ月、2019年6月~2020年7月までの1年1ヶ月、合計3年5ヶ月になっております。
自転車のキャリアが5年9ヶ月(2020年12月現在)なので、半分以上怪我で棒に振っており、実労は2年4ヶ月となっております。そのうち現在打ち込んでいるレースは4ヶ月ほどしか行えていません。
1. 負った怪我と克服方法
僕は数多くの怪我を負ってきましたが、全てを書き連ねると恐ろしい分量になることが予想されるため、代表的な3つを書き連ねます。
腸脛靭帯炎
負った箇所:両膝 治療期間:2年4ヶ月(2016年8月~2018年12月)
原因:オーバーユース、正しくないペダリング
解決方法:ストレッチ、フィッティング
高校3年生の夏、キャノンボール初級(名古屋→東京360km)に挑戦した際に負った。ペダリングが乱れ、それが原因となり癖がついていきました。
その後ロードバイクに乗り、クリート位置があっておらず悪化。リハビリを行い、その都度その都度少し乗るが、すぐ痛みが出てまた2週間ほど休養…というようなことを2年4ヶ月続けていました。
解決方法は念入りに行ったストレッチとフィッティングです。特にフィッティングが効果的でした。
僕はトレック社が提供するフィッティングの最上級のものを選択。Bike EGGさんにて実施。正しいペダリング(ニーインしない、外を向かない)や体幹を使うポジションを覚えることができました。また、クリート位置も概ね正しい位置に来たため、以降腸脛靭帯炎で悩まされることはなくなりました。
足底腱膜炎
負った箇所:両足裏 治療期間:?年(不明)
原因:扁平足
解決方法:オーダーメイド インソール
いつ頃負ったか忘れましたが、扁平足による足底腱膜炎に悩まされました。
なんなら今も悩まされています。生まれつきのものなので、完治は難しいと考えます。
しかし、このインソールを入れることである程度悩みは解決され、レースに出場することができています。
僕は現在2つのオーダーインソールを使っており、普段のスニーカー、そしてビンディングペダルに入れております。制作はスポーツ整形外科で行いました。
ただ、これは自転車に特化したものではなく、医療・理学の視線から見た痛みの出にくいインソールなので、シューズ選びが難航しました。これは次のアキレス腱炎にて話します。
アキレス腱炎
負った箇所:左アキレス腱、ふくらはぎ以降部 治療期間:1年(2019年6月~2020年7月)
原因:足首周りに過度に負荷がかかっていた
解決方法:クリートをSHIMANOからTIMEに変更、鍼治療
最近負ったスポーツ障害です。これはインターネットで検索してもあまり出てこず、自分でツテをたどり鍼治療を行っている名医の元治療。そして足首周りの負荷を減らすべくかかとが浮かないシューズを購入し、TIMEのクリートに変えました。
僕は右足の外反母趾が飛び出ているので中々あうシューズがありませんでした。また、踵はとても細いためシューズ選びは難航。3ヶ月のシューズ探しの旅に出てBont Vayporを購入。ただし、ガッチガチで膝が割れそうなので別のシューズを探しています...。
今のところ、痛みの再発もなく調子は良いですが無茶は禁物、そして念入りにストレッチは続けています。
2. 怪我の最中のメンタルについて
怪我で一番苦しいこと、それは自分が怪我で苦しんで自転車に乗れない中、ライバルたちがどんどん先へ進んでいくことです。自分はその様子を指を咥えて見ているだけになってしまいます。これは本当に苦しいです。なんならいっそ自殺したいって思う人も少なくないと思います。
特に僕のように怪我の期間が長ければ長いほど、強くなりたい気持ちが強ければ強いほど、自分の首を締めていきます。
自分は高校時代より自転車だけが生きがいで、大学生活では自転車だけ乗ってめちゃめちゃ強くなりたい!キャノンボールを達成したい!!と強く思っていました。
でも、それは上手くいかず。ではどのように向き合ったのか。
僕はTwitterで情報を発信し続けることで乗り越えてきました。
自分は怪我に苦しんでいることをこれでもかというほど発信してきました。
同じく怪我している方や、すでに経験されてきた方からお話を伺えるかもしれないからです。また、自分から病名で検索をかけていきました。水泳選手、野球選手、サッカー選手、そして自分と同じような自転車乗り。
様々な人にFF外からDMを送って病状と解決方法を尋ねていきました。
解決方法が知りたい、というのもありましたがそれよりも「怪我で苦しんでいるのは自分だけじゃない」と思いたかったんですよね。
実際、励まされることが多く、全く面識のない僕に対しても優しく接してくださる方ばかりでした。
そこからつながって、現在も自転車のお話をする方も多くいます。これはやってよかったことですね。
それでも押し寄せてくるときがあります。特に夜とか。
ストラバ(自転車SNS)を見ると同年代のみんなが楽しそうに自転車に乗っていたり、自分の影響を受けて自転車をはじめた友人がキャノンボール初級を達成する姿を見て情けないですが本気で嫉妬していました。
あー、なんで俺こんなふうになっちゃったのかなって。
ときには同年代の自転車乗りをミュートしてました。俺は乗れないのに、いいなーって。
いつか乗れる日が来るのかな、本当に俺はまた自転車でたくさんしんどいことに挑めるんかなぁ、これで完治しないで大学卒業したら俺、なんのために生きてきたかわからんなぁ…と落ち込む日々。
もし今同じような状況でこの記事を読んでいる方がいたら、届いてほしいです。無責任なことは言えませんが、きっと大丈夫ですよ。ほんとに。大丈夫、今のリハビリもきっといつか実を結ぶんだって。大丈夫です。
発信して、検索して尋ねて安堵して、そしてリハビリに向かって。
完全に忘れることは難しいけど、ときには忘れてみたり。
僕も怪我の間はDJに挑戦したりしました!こう書くと「ついで」みたいに捉えられるかもしれませんが、そんなことはありません。全力でやってきました。
他のことに挑戦して時期を待つこともアリかも知れません、メンタルはきっと良くなります。
3. 怪我から復帰してレースで勝つ方法
いざ怪我を克服して自転車に乗れるようになっても、どうやって強くなればいいのか。まだ強くない僕が講釈垂れるのも違う気がしますが、僕がここまでやってきたことを記していきます。
a.とにかく走る
当たり前なんですけど、とにかく走っていました。
距離は10kmくらいから初め、20km、40km、100km…どんどん増やしていきました。このときに気をつけていたのは、LSD強度で走ること。
今思えばもう少し強度を上げておいてもよかったかもな~とは思いますが、怪我復帰後は再発が怖いのでLSD、上げてもL3強度で良いと思います。これを淡々、ほんとに淡々とこなしていきました。だいたい2ヶ月くらい、自転車の上に慣れていきました。
b.ローラーで追い込む
正直これは怪我復帰の人間がやるべきではない気がします。
これは個人的な意見ですが、ローラーでは身体へのダメージを上手く逃がすことができずダメージが蓄積していくイメージがあります。
僕は当初キャノンボールを目指していたので、FTPを向上させることを目的として3本ローラーにてSST20min2setを積み上げ続けていたのですが、実走とは異なるダメージがありました。
特に2019年に負ったアキレス腱炎につながった足首周りの柔軟性不足はローラーから来ていると考えています。
これはローラーが悪!というわけではなく、適切なアプローチや下腿部分のストレッチは思っているより念入り!ということです。
ローラートレーニングは2019年の3月ごろ、バイトの合間を縫って行ってきました。
バイトが0時に終わるので、帰って2時頃まで回し寝る、という感じです。学生だからできる無茶ですねw
時間がない方にとってこれほど効率のいい練習はないと思いますし、短期間で強くなるならローラーがベストな気がします。
c. 人と走る
レースで優勝できた要因として最も大きかったのはこれです。人と走ること。
走行マナーから展開まで、ありとあらゆることが学べます。
でも一緒に走ってくれる人がいない!そういうときはストラバを使いましょう。
今はプレミアム会員のみ使える機能ですが、峠やサイクリングロードのセグメントで自分と順位が近い人を徹底的にフォローし、練習しませんか!?とコメントを送る。
これだけで練習仲間が増えていきます!僕はこれだけでメンバーを増やし、現在も練習をしております。
また、レース会場にいくとたくさんの人がいます。
レース後は皆テンションが高く、何言っても許される雰囲気が漂っています(限度はあります)。
そこでレースの話からストラバ交換、なんならインスタも交換しましょう!これで練習仲間はどんどん増えていきます!!
もしそれが難しい時は、やはり先程のローラーになってしまいますね。
d.レースの動画と得意分野を把握する
レースコースの動画を見て「どのタイミングでアタックをするか」や「どこがキツくてセレクションがかかりそうか」を見ておくこと。
これはものすごく大事だと考えます。
そして、自分の得意分野を知っておくことで、どういう展開に持っていけば勝てるか、という戦略がたてられます。
でも自分の特技なんてわからない!ということもあると思います。そういうときこそ人と走ることが大事ですね。これで比較的自分が何が得意かということがなんとなーく浮かび上がります。
そして如何にその展開に持っていくか。これに尽きます。
4.食事
意外と見落とされがちなのがこの食事。言うて僕もネットに出回っている程度の知識しかありませんが、以下のことを意識して練習に臨みました。
1.タンパク質を1日に体重2倍g摂取する
2.米は1日3合摂取
筋肥大を狙うにはタンパク質を体重の2倍g摂取する必要があり、有酸素運動をする上で炭水化物は必須であるため、ちょっと多めに食べることを意識。
正直デタラメな気もするし、野菜もあまり食べていないのがよくないんですけど、タンパク質を意識するだけで筋肉の付き方はかなり変わってくると思いました。
怪我で乗れなかった分、ここでブーストかけて前を行くライバルたちに追いつきましょう!
5.最後に伝えたいこと
怪我からの回復は容易ではありません。スポーツ障害は、いつ治るかわかりません。治療中と完治の境目も曖昧で、完治までの道のりが長いだけでなく怪我が癖になりやすいです。それでも自転車に乗りたい、まだ続けたいと思い続けることは相当に苦しいと思います。
周りと自分を比較し堕ちていくことも少なくないです。
自分は障害と向き合い治療し、再度自転車に乗り、痛みが出たら原因を突き止めていくという作業が死ぬほど苦しかったです。この期間は前に進めていない、暗いトンネルの中にいるみたいでした。きっと怪我が長引いて完治が見えず苦しむあなたも同じように苦しんでいると思います。
「もし完治しなかったらどうしよう。この治療の期間はどうなっちゃうのかな。」という考えもよぎってくると思います。
そういうときは別のことをして気を紛らわしたり、一旦離れてみましょう。その時にまたふと「あー、自転車やりたいな」と思えばもう一度前に進むために治療や身体の使い方を学んでいきましょう。自分も同じ道を歩んできました、大丈夫です、諦めず進み続ければ快方に向かいます。
そして怪我を完治させて自転車に思い切り乗りましょう!怪我と向き合っているときの苦しさと比べれば、別のベクトルで苦しいですが、ずっとずっと楽しいです。
そしてこの記事を読んでレース気になるな、と思ってくださった方へ!
レースで1番になることも簡単ではありませんでした!めっちゃ考えてコースの動画見てシュミレーションして、そして毎日辛い練習とまずい鶏むね肉を食べる日々!でも、それら全てが超楽しい!!!
自転車は、サイクルロードレースは超絶楽しい遊びです!怪我は苦しいですが、一緒に前向いて戦っていきましょう!
かくいう僕も、またいつ怪我するかわかりません。その不安と常に戦っています。でもやめられないのは楽しいからですね!(まぁ大学生活4年かけて治療してきたのを無駄にしたくないコンコルド効果の側面もあるかもしれませんがw)
今この記事を読んでいるあなたの怪我が少しでも良くなりますよう祈っております。