六畳間のアパート

手荷物は嘘以外の気持ちと少々の自信過剰

【リタイア】掛川→静岡 100kmさんぽ【ウルトラ徒歩会】

黒糖です。

 

今回は2023年11月3日に行った自主企画「掛川→沼津 100kmウルトラ徒歩会」についてまとめていきます。

 

事の発端はTwitterのオタクと100km歩くか、という話をしていたところから。

企画自体は2022年4月に立ち上がっていた。

気温の関係上、春か秋に絞っており、2022年6月に行う予定だったが生憎の豪雨。

続く2022年9月は台風、2023年3月も豪雨。

もう雨が降っても歩けるようにレインウェアを準備して挑もう、と誓い備えた2023年9月は黒糖が休日出勤。

 

もう開催は永遠に訪れないかと思われていたが2023年11月、最高のカンカン照りの元開催することができた。

 

徒歩の神に感謝、精一杯歩くことを誓う。

 

いざ、尋常に勝負。

 

目次

 

1.ウルトラ徒歩会について

ブログのタイトルにあるウルトラ徒歩会という名前の由来についてお話したいと思う。

まず、徒歩会について。

今回一緒に歩いた友人や僕を含む6人組DJサークル「レムりん萌え萌え同盟」で不定期開催される旅行イベントのことを徒歩会と呼んでいる。

徒歩会は2021年7月に発足し、当初は皆、歩く気持ちをギラつかせ燃えていたのだが100km/hで移動する文明に触れてしまい以降缶チューハイ片手に10km程度の距離を5時間くらいかけて歩く団体となった。

ただ、その徒歩会の中でも屈指の武闘派である黒糖と、歩くのが好きすぎて1人で70km以上歩いてしまうオタクが「そろそろ本気で徒歩会したくね?」となり発足したのがウルトラ徒歩会だ。

 

ウルトラについては、当時黒糖はトレイルランニングにハマっており、トレイルランニング協会から定期的にメールで参加募集が送られてくる100kmウォーク、通称ウルトラウォーキングになぞらえたもの。

 

ちなみに、目標設定した100kmという数字はキリがいいからだったと思う。

単純に人力だけで100km歩いたらすげーおもしろだもんね。

 

2.目標設定

今回、僕が愛知県住み、後述する友人が千葉県住みということでおおよそ中間とされる静岡を舞台にすることにした。

その中でも、以前徒歩会で行って非常に楽しかった思い出のある沼津をゴールにしたら楽しそうだ、ということで沼津ゴールで100km逆算したところ掛川駅が該当した。

掛川駅スタート、沼津港ゴールの100kmを目標とした。

ゴール地点で死ぬほど海鮮丼を食べることだけを楽しみに歩く我々だ。

3.登場人物について

今回のウルトラ徒歩会、2人で行った。

順に紹介。

黒糖

御年24歳 趣味:ロードレース、ウェイトトレーニング

深夜0時に後輩を呼びつけ、120km先の長野県阿智村まで運転させて足湯に浸かることをライフワークとしている。

過去、トレイルランニングをやっており2年離れているが、まぁ100km歩くくらいいけるっしょの気持ちで臨んでいるため、前日もロードレースのトレーニングを積んだ。

また、前日にコスメティック田中の100kmを24時間以内に歩く動画を視聴し、100km完歩を確信していた。

 

かふぇくん

御年24歳 趣味:歩くこと

DJサークル「レムりん萌え萌え同盟」の立ち上げメンバー。

かれこれ4年の付き合いがあり、その昔は上野公園でヲタ芸を伝授した。

最近「エロ画像 おっぱい」で検索して1日が終わったらしい。

とてつもなく歩くことが得意。あと、顔からわかるとおり理系。

 

以上、この2人で歩いていく。

 

4.準備編

ウルトラ徒歩会に向けて以下の準備を行った。

1.SST(スウィートスポットトレーニング)

2.ウェイトトレーニング(スクワット、レッグプレス、レッグエクステンション、レッグカール)

3.カーボローディング

 

1つずつ説明していく。

1.SSTについてだが、色々と訳があり2年ほど自転車に乗れていなかった。

5月時点での体重も65kgほどであった。

乗れていなかった理由は主に持病のヘルニアと長時間労働にあったが、共に解決したためSSTを開始。

SSTは自分が出せる1時間のパワー(FTP)の88%~95%を一定時間維持することで心肺機能を向上させるロードレースの王道トレーニングである。

心肺ゾーンでいうと、最大心拍数の80%~90%を目安にするといいと言われている。

ロードレースの基礎はSSTであると4年前から信じてやまない。

 

2.ウェイトトレーニングについては、24hジムを契約し、週に1度トレーニングに励んでいた。

フリーウェイト→マシンという流れで、はじめはスクワットも20kgのバーでキツかったのが2ヶ月で60kgでセットを組んでもフォームが崩れないくらいにはなった。

また、スプリントの瞬発を意識してレッグプレスは高重量(200kgほど)を強く蹴り上げるようにした。

 

おかげで2ヶ月で体重は68kgほどになった。

 

3.カーボローディングは、マラソンや長距離サイクリングの前に行われる炭水化物の接種コントロール行為だ。

炭水化物をたくさん接種し、体内に大量のグリコーゲンを蓄えさせ、長時間動いても体内のエネルギーが切れにくくなるみたい。

実際のところ、1日米0.7合ほど食べているので今更カーボもクソもない。

 

と、いうように徒歩の対策は全くしておらず、普通に12月に控えるレースに向けたトレーニングしかしていなかった。

阿智村に連行している後輩からも「歩いてる場合じゃないですよ」と言われるほどにはいいトレーニングを積めていた。

もちろん徒歩をする上で最大心拍数の80%を出すことも、200kgのレッグプレスをあげることもない。

これらの筋肉が非常に重く、歩くのが大変だったことを覚えている。

 

ちなみに、12月のレースはこのブログを書いている日に休日出勤が入って出られないことが確定した。

 

5.掛川→静岡 50km

前置きが非常に長くなってしまったが、実際に歩いた記録を記憶を頼りにまとめていく。

決戦の日、2023年11月3日 金曜日。

1年半前より我々をスタート地点にすら立たせなかった豪雨なんてこの世のどこにも存在しないかのような、嘘みたいな快晴だった。

かふぇくんは前日楽しみすぎて眠ることができず、睡眠時間3時間とかで来ていた。

しかも往路の新幹線ではアニメを見ている。

そうか、強い人間ってこういうことなんだろうな、と。

 

一方で僕は準備万端。

前日はSSTをしっかり積み、そこそこの疲労感はあるものの7時間睡眠を取ることができた。

 

10時、ようやく合流。

我々はほどよく仲が良いため、定期的に2人で通話したり7月にも2人で岐阜・奥飛騨旅行に行ったりもしているため、久々に会う割にテンションがめっちゃ上がるわけでもなく、サラッと歩きはじめる。

 

出発時のツイート。ありがたいことに多くの人に応援していただけました。

この場を借りて改めてお礼申し上げます!

 

 

今更だが、今回の正確なコースとプロフィール。

遠征の際、グーグルマップの移動手段で徒歩のボタンを押してアホみたいな数字を見るたびに「誰がこんな距離歩くねん」と思っていたが、今、まさに自分が歩こうとしていることが面白くて仕方なかった。

 

このコースは高校生のころより行っている名古屋→東京1Dayライド 通称「キャノンボール初級」のルートと概ね同じであり、懐かしい気持ちと「自転車で登っていた峠を歩くのか...」みたいな気持ちが芽生えて鬱々としていた。

 

歩きはじめて1時間ほど経過。股関節部分(腸腰筋)に違和感を感じる。

歩く際、股関節主体になってこの68kgのワガママボディを動かしていたからだろうか、幸先が悪すぎるし24時間歩くのが軽く絶望的であった。

また、シンプルに暑くてワロタ。11月なのに25度近くあったと思う。

 

これは1時間ほど歩いた場所で見つけた「お子様連れが苦手」な飲食店。

ゆっくり動くからこそこういった街の細部まで見渡せるのは非常に楽しい。

自転車もロングライドであれば、こういうものに気づいて楽しめるが徒歩より気軽に止まれないし「おもしろいけど、止まるの面倒だからいいや」となることもしばしばある。

 

ちなみに、時速5km/hほどで歩いているため1時間経過しても残98kmとかで絶望感がすごかった。

自分の中の距離感覚は自転車のままなので「1時間20km」の定規で測ってしまい、98kmと聞くとあっちゅーまやなみたいな感じであったが、冷静に考えて徒歩である現状に絶望する。

 

しかも100kmと言いながら正確には102kmであったため全然進んでいないように見える。

このときから残りの距離を見ることをやめた。

 

いや、徒歩における1kmは12分ほど、今後時速4km/hほどまで落ちることを考えると30分以上のビハインドになる。

目標設定はしっかりしたほうがいいと思った。(あたりまえだね)

 

 

歩き続けること約3時間。

掛川市島田市の間にある金谷峠の頂上に差し掛かる。

峠の頂上に待ち構えるのが、最高の眺望ではなくラブホテルというのが味があっていい。

高校の頃より「いつかこのホテル来てみたいな」と思っているのだが10年経過しても縁がない、結構ほんとに行きたいホテルなのだが...。

 

ラブホテルを眺めるかふぇくん

金谷峠を下ったところにあった大井川大橋
全長1kmで歩くには長すぎた

画像

4時間半ほど歩き平均速度は4.6km/h。

結構歩いたな、というところ。臀部の筋肉はかなり張っており、いい感じの疲労感。

自転車でいうところの2時間レース後みたいな筋肉の疲労感。

その割に心拍は常に100bpmを下回っているため変な気持ちである。

 

ちなみに、この時点での残距離は81km(結局残り距離見てるやないかい!)

 

 

 

画像

6時間経過時点の距離。

場所でいうと藤枝の中心街に差し掛かったところ。

 

もうこの時点で結構疲労しており、残り18時間あることに比喩ではなく絶望し涙を流していた。

ドカっと休憩するほどの余裕もないため、精神的にも肉体的にもキツかったのを覚えている。

 

当たり前の話だが、100km歩くのって口でいうより遥かにキツい。

おそらく自分が生半可に体重が重いのもあるだろう。自転車競技でいうヒルクライム(山を登るレース)と同じで体重1kgあたりのパワーが高いほうが有利なのがマラソンや徒歩であり、68kgのワガママボディを振り乱しながら歩くのは困難極める。

 

このあたりで口数が減り、話す内容も覚えていなかった。

気が狂いそうになり、ずっとファミリーマート店内に流れる「合宿免許WAO!」のえなこverのモノマネをして爆笑していた。

この際、反対側から歩いてきた夫婦がぎょっとしていたのを鮮明に覚えている。

気が触れていて、すみません。

 

ちなみにかふぇくんはずっと「いや~楽しくなってきましたわ!」「まだまだ"アップ"と言ったところですな」みたいなことを口にしている。

自分より遥かに格上のプロレベルの選手と練習している時に近い絶望感を覚える。

彼は徒歩におけるプロレベルの男だよ、間違えなくね。

 

藤枝名物「東京 200km」青看板 
何故か東京の文字が消されていた...。



 

 

約7時間歩き、ようやくドカ休憩に入る。

7時間で30km、そうか、いつも自転車で走っている30kmって歩くとこんなキツいんだ...みたいな顔つきになっていた。

 

ちなみにここまできて食べているのはなか卯のチーズ親子丼。

これがうまいんだ。

昔、笹塚でクソほど飲んで意識がなくなった状態で朝を迎え、そこで食べたなか卯の味が忘れられない。黒糖のソウルフードである。(正しい用法か?)

 

ウルトラ徒歩やタイムを意識したロングライドあるあるだが、どうしてもコンビニ休憩やファストフードになりがちである。

いや、ファストフードならいいほうだ。座って美味しいごはんを食べられることは幸せである。

 

ちなみにこの時点であたりは真っ暗になり本当の勝負がはじまった感があった。

 

 

画像

約9時間経過。辛すぎて語ることなんてない。

もう休ませてください、殺してください。といったところ。

 

実際にその時の動画を見てもつらく話すことがない様子。

自分でもこのあたりのことは特に覚えていない、もう無心で歩いていた。

 

丸子宿の公園
東海道の宿場町は雰囲気があっていいね!

 

 

その後は特筆すべきこともなくボロボロの状態であるき続ける。

11時間の時点で体は比喩なしでボロボロ、痛くない箇所がない。

立ってるのがやっとで、一度座ってしまうともう立ち上がれなくなる。

実際、コンビニで座り込んでしまい立ち上がろうとした時に120kgのスクワットしている時みたいな声が出た。

そう、11時間歩くのは120kgのスクワットに相当する。

 

 

一度座り込むと、もう立ち上がれない
気持ちではなく体が追いつかない

 

 

 

流石にこれは無理だ、あと12時間も歩けない...となる。

時間も時間だし、距離も距離。残り50kmもある。

自分が遅いことによってかふぇくんという猛者の足を引っ張っている自覚もあったし、静岡駅というちょうど区切りが良いところで撤退するほうがいいと思った。

まだギリギリゴール地点の沼津まで電車あるしね。

 

 

12時間経過し、52km地点の静岡駅でリタイア。

100km歩くのって実はものすごく難しい。

当たり前だが自転車に乗っているだけの人間には到底無理である。

 

最終リザルト キツかった...

 

かふぇくんは残りの50kmも歩くとのことで、翌朝沼津港で合流することを約束し一足先に沼津駅までワープする。

 

この際も電車に座り込んでしまうともう立つことはできず、歩くことなんて以ての外、みたいな状態となり時速1km/hみたいな歩き方になっていた。

 

沼津駅の駅員さん、ありがとうございます....。

 

 

ちなみに、翌朝なぜか遠回りして24時間で合計110kmほど歩いたかふぇくんと沼津港で合流。

もうすごいよ、言葉が出ません。

本当にお疲れ様でした。

 

敗北の味がする

 

 

感想・まとめ

とにかくキツかったの一言に尽きる。

それ以外の感想はない。

 

ただ、この歳になってもスポーツをやっている者として今回のリタイアは非常に悔しいものだった。

悔しいけどそれ以上に歩くことが無理なところまできていた、あれ以上歩いたら競技に支障出ます!みたいなところまできていた。

 

24時間テレビなどで「100km走ってます!」みたいなのを見るたびに「すげ~」と思っていたが、より一層その気持ちは強まる。

 

そして、やっぱりもう一度リベンジしたい気持ちも芽生えてきた。

レースもそうだが、狙っていたものを一発で落とせなかった時は非常に悔しい気持ちになるし、もう一度そのターゲットを落とさないといけなくなる。

留年というか、足踏みしている感じがして悔しいよな。

 

来年、自転車のシーズンが終わったら2ヶ月ほど本気でトレイルランニングに取り組み100kmウルトラ徒歩にもう一度挑みたいと思った。

 

ちなみにゴール時点の写真は角度と顔の疲れから太っているように見えるし、めちゃブサイクということで3日間擦られ続けた。